36歳女 沢山の警察官の方が敬礼をしていた

私には大学生時代、親友と呼べる男友達がいました。


彼は大変努力家で、社交的で優しくて、女友達のようでした。


知り合った場所はバイト先でしたが、家が近かったこともあり、一緒に帰ったりしているうちに仲良くなりました。


その彼が、交通事故で亡くなりました。

友達になって8年後の6月の夜です。

彼が亡くなったことを、私はニュースで知りました。

何故なら、彼は警察官だったのです。


努力家の彼は、元々心臓が弱く、いつも試験の最後の身体検査で落とされていました。

身体を動かす仕事に就きたいと、消防士を受けたこともあり、頭がよく勤勉な彼は簡単に試験を突破し、消防士にもなりましたが、警察官への憧れは捨てきれず、消防士を辞めて警察事務と警察官の両方の試験を受けたりしていました。


大学を卒業してから、バイトをしながら独学で試験勉強をし、警察官も消防士も警察事務も、ほぼ100点に近い点数で試験をクリアしてきた彼が、3度目の挑戦で夢であった警察官になった時のことは忘れられません。


身体検査にどうしても引っかかってしまうけれど、体力もずば抜けて成績の良かった彼はこれまでの努力と経験を評価され、無事警察官になったのです。

6ヶ月の研修を終え、配属先の交番に勤めはじめて2ヶ月。

よくバイクに乗っていた彼は非番の日に対向車と接触しトンネルの壁にぶつかって亡くなりました。

心臓が弱かったことが彼の死を早めたのではないかと思いました。


彼のお葬式では、御焼香の時に、200人程の警察官の方が来られ、一糸乱れぬ列を組み、順番に敬礼をされていました。

彼がどれほど期待されていたのか、それだけで十分伝わってくるものがありました。

そして、警察官という職業の方が交通事故で亡くなるということをしてはならないと胸に刻んでいるようにも見えました。

人間なので、どうしてもミスはするし、警察官も時に弱くもなります。

でも、全てを受け入れて彼の死に想いを込め伝えてくれた警察官の方々の姿と、これまでの彼の努力を近くで見させてもらった私にとって、彼のお葬式は忘れられないものになりました。

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