私は、二人の子供を育てている、40代の専業主婦です。私の義理の祖母が亡くなったのは、おととしのことでした。結婚した当時は健在だったのですが、震災の歳に倒れて寝たきりになってしまいました。その後は病院のベッドの上で徐々に自我をなくしていき、おととしについに大往生されたのでした。義母は私の結婚当時から親戚の悪口をよく言っていました。どうも、遺産相続を契機に、義母の兄弟は仲たがいをしてしまったようでした。私が嫁に来てから、義理の祖母は足が悪く、よく入退院も繰り返して、健在とは言いつつも、自分の死期がそう遠くはないと思っていたようでした。自分の頭がしっかりしているうちに、自分の子供たちの仲たがいを治め、子も孫も仲良く顔合わせしたいと、時々親戚に声をかけてはいたようです。しかし親戚たちは、義母と会うのを嫌がり、ついにそれは叶わないままとなりました。義理の祖母が倒れてからは、さすがに義母から親戚に見舞いに来るようにと連絡を入れてはいたようですが、それも断られたと、義母はひどく怒っていました。ただ、後で分かったことなのですが、義母がいない時を見計らって、こっそり義理の祖母の見舞いには来ていたようです。ただ、義理の祖母が望んだような、一堂に会して仲良く、という日はついに実現しないまま、義理の祖母は亡くなりました。いざ、葬儀の時。一体どれほど険悪な空気が流れるのだろうと、部外者の自分はハラハラしながら葬儀にのぞみました。しかし、いざ親族一同集まってみると、さすがに葬儀の場で喧嘩をするわけにもいかず、誰も彼もみんな穏やかに世間話をしていました。義理の祖母の望んだ光景は、図らずもその葬儀でようやく実現したのです。喪主である義母は泣きながら、「母がこのような場を設けてくれたと思います」と挨拶していました。しかし私は、やはりみんなが少しずつ我慢して、義理の祖母の生前にこの状況を実現してやるべきだったと思いました。だって、「葬儀で喧嘩するわけにもいかないから」と自分を押し殺して談笑できるということは、その気になればいくらでも我慢して人と付き合えるということなのだから。
40歳専業主婦葬儀で雨降って地固まる
