「いえ、夜になってからは一度だけしかお電話はしていませんよ」

その日は、私たち家族は、あるフェスティバル会場に訪れていました。
午前10時に開演でしたが、人気だと聞かされていたので、午前9:00には入場門の前で、並んでいました。
長蛇の列です。
10代だった長女や次女は手持ち無沙汰なのか、そのあたりで、クローバー探しを始めました。
何と、何本の4つ葉が見つかります。
やっと開演時間になり、さまざまなアトラクションやパフォーマンスを1日中楽しみました。
しかし、またレアなことが起きました。
500人以上の来客が観覧していたマジックショーだったのですが、その中から長女だけがマジシャンから選ばれて、コインを持たされてステージにあがりました。
こんな体験は初めてだったので、あわてて写真や動画を撮ります。
あちら、こちらと遊んでいるうちに夜になりました。
空を見ると、日中快晴だったせいか、星たちが輝いています。
南東のほうにひときわ大きな光り方をする星がいました。
普段、天体に興味はないのですが、妙に気になりました。
どの展示場やアトラクション会場にいても、その星は見えるのです。
次女がふと言いました。
「あの、星ついてくるみたいだね」と。
私は何も言いませんでしたが、自分だけが感じているわけではないことに、ちょっと変な気がしました。
帰路につき自宅に戻ると午後10時を回っていました。
あまりに疲れていたので、入浴後すぐに寝床に入ります。

午前0時ピタリに自宅電話が鳴りました。
出てみます。
無言でした。
また、鳴りました。
出てみます。
また、無言です。
夫がいぶかしげな顔をして、私の顔を見ています。
再度電話が鳴ったので、夫が出ました。
姑が利用している宅配弁当屋さんからです。
姑の自宅が朝から電気がつきっぱなしなので、事件の恐れがあると早口で知らせてくれました。
私と夫はあわてて駆け付けます。
姑は仏壇の前で倒れていました。
警察医の判断した時刻は午前9:00でした。
後日、お礼がてら弁当屋さんを訪れ聞いてみました。
「何度も自宅に電話をくださったのですね。
ありがとうございました。
」と。
「いえ、夜になってからは一度だけしかお電話はしていませんよ」と笑顔で答えてくれました。

あの1日だけに起こった一連の出来事はなんだったのか、今もって分からないです。
命はなくなったとしても、魂は生きているのではないかということをおぼろげながらでも実感させられた体験です。