おばあさんと女の子は二人とも全身白づくめで、しかも半そでの服を着ているのです。

20年以上前のことです。
駐車場が家から少し離れた所にあったのですが、その夜は急に風が出てきて雨が降りそうだったので車にカバーを掛けに外に出ました。
風が強くてカバーがなかなか掛からずもたもたしていると、駐車場の横の道をおばあさんが3歳くらいの女の子の手をつないで歌を歌いながら歩いてきます。
時間も夜中に近かったので、初めは夜眠れない孫をあやすために、おあばさんが散歩に連れ出したのだと思いました。

でもしばらくして、あることに気づいて鳥肌が立つような怖さを感じました。
その日は冬の初めころで、上着がなければ寒いのに、おばあさんと女の子は二人とも全身白づくめで、しかも半そでの服を着ているのです。
そして二人が歩いている道は小さい踏切から続いていて、その踏切は子供が事故死したり、誰かが自殺したりすることで有名でした。
数か月前にも病気を苦にしたおばあさんがそこで自殺したと聞いていました。
そのおばあさんは近所の人で、私もあいさつくらいはしたことがありました。
そのとき、ふとその女の子を連れたおばあさんが、踏切で自殺したというおばあさんに似ているような気がしました。
それに気がつくと体が固まってしまって、二人が通り過ぎるのをただ見つめていました。

二人が角を曲がって見えなくなってから家に戻って主人にこのことを話したのですが、あまり信じてくれません。
私は、霊感のようなものが強くてよく霊を感じるのですが、こんなにはっきり見たのは始めてでした。
あとから考えると、おばあさんと女の子は私の方を見もせずに、楽しそうに歌を歌って歩いていました。
きっとおばあさんは、ひとりで亡くなった女の子をふびんに思い、ああやって人気のない夜中に歌を歌いながら散歩しているのかもしれない。
そう思うと、なんだかあの自殺したおばあさんの優しい笑顔を思い出してご冥福を祈りました。