祖父に最後に会ったときの不思議な体験

30年以上も昔の話です。当時、私は女子大生、学校の合間に、京都のファッションビルでアルバイトをしていました。
その日は早番シフトで、朝、10時ころに家を出て、アルバイト先に向かっていました。三条大橋を渡っている時です。橋の中央に、よく知った顔が。私の祖父、が一人でこちらを向いて立っていました。祖父は脚が不自由だったのですが、当時のその年代の老人と比べても、元気で、よく一人で出歩いていたので、「あれっ、おじいちゃん、朝から何しているんだろう」と思って近づいていくと、次の瞬間、祖父の姿がありません。
よく似た人を見間違えんだ、と普通に納得して、そのままバイト先に行きました。
バイト先のお店は入口がガラス張りで、通りを歩く人も店内から良く見えるお店でした。お店の前で待ち合わせをする人も多く、知り合いの姿を見つけることもよくありました。
ランチタイム後の、閑散時だったと思います。仕事の合間に外の様子を見ると、また、そこに、朝見かけた祖父の姿がありました。まさか、私に会いにきたわけじゃないだろう、と。でもお店の前にいるので、声だけかけておこう、と、入り口に向かったら、また、不思議なことに、祖父の姿が見えなくなってしまいました。
走ることはできない人だし、どんなに早足で歩いても、後ろ姿に追いつく、見つけることは簡単なはずなのに、また見失ってしまいました。
不思議なことが続けてあったので、バイト仲間の友達に、朝と、今あった出来事を話したら、「孫の様子でも見に来たんじゃない、でも、お店まで入るのは照れてやめはったんよ。」と言われ、そうだなあ、とまた納得して、そのままバイトを続けました。
バイトが終わって、帰宅し、夕食を食べながら、母に今日、祖父を見かけたことの一連の話をしました。「で、おじいちゃん、元気そうやった?」「うん、でも、夜の繁華街歩くのが好きな人が、どうしてあんな時間にあんなところにいたんやろ」と、「しばらく家に行ってないから、また今度いってみる」と会話。
その日は父の帰りが遅く、父の帰宅を気にしていたころ、11時過ぎだったと思います。
電話のベルが鳴りました。警察暑からの電話で、祖父が交通事故に遭って、救急搬送されたこと、病院に搬送された時はすでに亡くなっていた、という内容でした。
それを聞いたときに、やっぱり、あれは間違いなく祖父だったんだ、お別れを告げに私に会いにきてくれたんだと、痛感しました。
怖いとか、不思議とかいうことより、息子、娘である、父、伯母宛ではなく、私にメッセージを送ってくれていたこと。子供の頃から、会えばにこっと笑って、そのあとは、一言も話さず、ただ、そこに座っているだけの距離をおいた関係、でもそれが祖父の愛情表現だったんだろうと、亡くなった後、改めて思いました。