高校3年生の夏に父と霊園見学をしていた時に見た黒い靄

私が高校生だった頃の話です。

母が病気で亡くなり、父と墓をどこに立てようかあちこち車でまわっている時期がありました。

もう10箇所くらい見学したのですが、やはり霊園によって雰囲気のいい所と悪い所がありました。

中でも一番空気が悪かったところのことをお話します。

自宅から車で30分もかからない所に比較的新しいらしい霊園があるというので、もう候補は絞られていたものの見学に行ってみることにしました。

ヤシの木がたくさん生えているリゾート風の霊園で、パンフレットもそのことを全面的に押し出しているような風でした。

案内してくれる係の人も親切で、一通り墓地を回り説明だけ聞いて帰ろうということになりました。

説明が終わり中を案内されることになったのですが、そこで私は違和感を覚えました。

その時墓地には私達以外の姿は殆どなかったのですが、移動中誰かの視線をいくつか常に感じたのです。

そして視界の端の方が揺らぐのを感じ、そちらを見ました。

すると黒い煙のような霧のようなものが、墓石の列のあちこちから立ち上っていたんです。

真っ黒いものもあれば灰色でゆらゆらしているものなど、色々いました。

見間違いかと思ったのですが、墓を一周する間ずっとそれらの影は消えないままでした。

係の人と父は黒い靄が見えていないようで、せっせと先頭を歩いています。

丁寧に案内されている今「怪しいものが見えたから帰ろう」と言うのも気が引けたので、特に危害を加えられるわけでもなかったので私は動揺を隠しつつ黙って2人の後をついて行きました。

黒い靄の隣を通ることになったらどうしよう、と思っていたもののそれはなかったのでホッとしました。

幸い見学が終わると「それじゃちょっと検討しますんで」と父は言ってくれましたので、私達は早々とその墓地を後にしました。

「どうだった?」と車内で聞かれたので「あそこは絶対にヤバイ! あちこちの墓の前に黒い靄がいっぱいいたんだけど見えなかった?」と答えました。

父は霊感も全く無く霊の存在自体にも否定的でした(私もそうです)。

墓では何も見えず気配もしなかったそうです。

普段何かと私をいじる父ですがこの時は妄想でも言ってるのか? と冷やかしたりせず、空気悪かったならこの墓地は止めようとすんなり言ってくれました。

その日から間もなく、私達は別の霊園に墓を作ることに決めました。

そして最初の法事の時に祖父母とも会ったのですが、その時に黒い靄がいた霊園の近くに昔大規模な焼き場があったことを知りました。

そうした過去と私が見た黒い靄に関係があるかは不明ですが、それを知った時は気味悪さを感じました。