彼女はなぜ私のベッドにいて、笑ったのでしょう

 ポルターガイストの起こる家には、思春期の子供がいることが多いという説がありますが、私が不思議な体験をしたのも、まさに中学二年生でした。

 
 当時、私は深夜ラジオにはまっていました。

ラジオが終わるのがちょうど一時すぎ。

それからベッドに入ると、ちょうど丑三つ時くらいが寝入りばな。

 あの日も、大好きなアーティストのラジオを聞いて、興奮状態でした。

眠くないけど、明日も学校がある。

そう思ってベッドに入り、電気を消しました。

かすかに窓から月明かりが入り、部屋はほの青く照らされています。

 
 仰向けに寝て、目をつぶっても、なかなか睡魔は訪れてくれません。

早く寝なければ、と焦るほど、目がさえていきます。

 私は目を閉じたまま寝返りを打ち、壁に向かって横向きになりました。

 その時です。

キン、と耳鳴りが起こりました。

 体が動きません。

 
 金縛り。

そんな言葉が浮かびました。

 でも、それほどの恐怖はなかったのです。

私はそれまでに、何度か金縛りらしき現象を経験していました。

金縛りは霊現象などではなく、体が寝ているのに頭が起きているために起こる自然現象。

どこかでそんな知識も手に入れていました。

 
 経験上、しばらくすれば自然に動くようになるか、そのまま眠ってしまう。

 そう思いました。

でも、その日は何かが違ったのです。

 まず、耳鳴りです。

いつもの金縛りなら、耳鳴りはありません。

でもその時は、耳鳴りがキーンと続いていました。

 そして、体制です。

今まで、仰向け以外の体制で金縛りになったことはありませんでした。

横向きに寝ているのに、体が動かない。

耳鳴りは痛いほど強くなっていきます。

 私は、つぶっていた目を開けました。

 目の前に、人がいました。

 私に添い寝するように、こちらを向いて横向きに寝ています。

 体中に鳥肌が立ちました。

体は動きません。

耳鳴りは続いています。

 その顔に、見覚えがありました。

 一つ下の、下級生の女の子でした。

 近所に住んでいて、昔から仲が良かった。

でも、中学に入ってからは、急に上下関係が厳しくなって、下級生と友達のような関係でいるのが難しくなり、少しずつ距離が出来てしまった幼馴染でした。

 彼女は、笑いました。

 私と目が合うと、ニヤリと顔を崩しました。

 その先は記憶にありません。

おそらく、気を失ってしまったのでしょう。

 後日、彼女を見かけました。

彼女は普通に暮らしているようです。

声はかけられませんでした。

 夜更かしと寝不足で過敏になった思春期女子の心身が見せた妄想。

それとも夢?
 でも、妄想でも夢でもなかったとしたら。

 彼女はなぜ私のベッドにいて、笑ったのでしょう。

 今でも思い出すと体中に悪寒が走るのです。